■剣のユリ「フラ・ダ・リ」
フランス王室の紋章ともなった「フラ・ダ・リ」。一般に「ユリの花」と呼ばれていますが、実際に図案の元となった花はユリではなく、
アイリス(イリス)というアヤメ属の花で、虹のような様々な花を咲かせるというギリシャ神話の「虹の女神アイリス」が語源と言われる花です。
では、この紋章がなぜ「ユリ」と呼ばれているのでしょうか。一説に、この花の「葉」の形が「剣」に似ていることから、ギリシャではキリス(ギリシャ語で剣)と呼ばれ、後に「イリス」となり、このイリスが「剣を象徴する花」としてドイツに伝わった頃、「剣の(ごとき)ユリ」との俗称で知られるようになったといいます。
これがフランスにも広がり、時のフランス王が即位する時に、この花「剣の(ごとき)ユリ」にちなみ、紋章として図案化したのが最初と言われ、ユリとは別の花アイリスの図案ではあったのですが、これよりフランス王室の紋章として、俗称の「剣のユリ」がそのまま定着したとされています。
ルイ・モネのシンボルマークもこのフラ・ダ・リの紋章を踏襲した美しくも格調高い魅力的な図案となっています。これは時計師ルイ・モネが当時フランス王室と深い関わりがあったことへの尊敬と称賛の証でもあります。その至極の時計製作技術と博識が絶大であった、時計師ルイ・モネの名を冠した時計だからこそ、フランス王室の紋章フラ・ダ・リ系の紋章がよりいっそう際立つのです。